茶道には資格制度があるの?

PR

PR

茶道許状

裏千家茶道には資格と許状(きょじょう)と呼ばれるものがそれぞれあります。

茶道の許状(きょじょう)とは?

許状とはそのお稽古をしてもよいですよ、という許し状のことです。

茶道の道に入門するとカリキュラムに従って初歩のお稽古からステップを踏んでいきますが、お稽古の段階ごとに学ぶことを許可する許し状のことを「許状(きょじょう)」といいます。

誰からのお許しかというと京都のお家元です。

先生を通してお家元に申請書が送られ、立派な和紙に手書きで書かれた許状が届きます。

何かを学んだ後に受け取る修了証やライセンスとは違い、許状は学ぶ前に学ぶ許可を頂くものという点が特徴です。裏千家では入門から茶名をもらうまでに7年と言われておりますが、実際には仕事や家庭の都合でお稽古を中断する方も多く、それ以上にかかる人の方が多いように思います。一番上の許状である准教授まで16ステップあるので、ブランクを挟みながらですと10年以上かかることも普通です。

裏千家茶道の許状名称一覧
入門 小習 茶箱箱 茶通箱 唐物 大天目 盆点 和巾点 行之行台子 大円草 引次 真之行台子 大円真 正引次 茶名・紋許 準教授

入門と茶名以外はなんのことやら、ですが茶道はお湯を沸かしてお茶を点てるだけの行為ではありますが、使う道具やおもてなしをするお客様などによって作法が違うのでそれを学びます。

茶道の資格とは?

裏千家茶道の資格とは修道者の習熟度を表すものです。許状の名称は茶道をしない人からは意味不明なので、2000年に一般社会にもわかりやすい名称・制度に改定されました。このことで入試の願書や履歴書のアピール欄や趣味欄に書いても理解が得やすくなりました。表千家では資格はなく今も許状のみのようです。

裏千家茶道の資格名称一覧
初級 中級 上級(助講師) 講師 専任人講師 助教授

許状と比較して、茶道のことがわからなくてもどの程度茶道を習得している人なのかイメージがつきやすいですね。

茶道の許状や資格の取得方法

茶道の許状と資格はセットになっていて、お茶のお稽古を始めたときや許状が欲しいと思ったときに先生に申し出ると先生を通じて申請することができます。

流れとしては申請書を先生が京都のお家元に送付して、2~3ヵ月経過すると許状と資格証が一緒に届きます。

申請する際は申請費用がかかりますが、お稽古場によってまちまちです。

許状と資格は茶道を学ぶ上で必須のものではなく、ただ単にお茶の時間を楽しみたい方、マナーを知りたいといった目的の方は何年茶道を学んでいても許状を申請しない方もいますし、絶対茶名が欲しいと思う方は先生にアピールをしてお稽古を頑張って取得を目指します。

茶名は千利休以来歴代お家元の「宗」の一字をいただくものです。これを取得すると専任講師として活動することができます。向上心をもって学ぶ方は茶名を頂くことを目標にしている方が多いです。

茶道の他に許状制度があるもの

許状は和文化特有の制度で香道にもあります。茶道の許状は広き門ですが香道の入門基準は厳しいようです。同じ和文化の華道や日舞はお稽古前に許しをこう許状制度ではなく一定の技術を身に着けたあとに免状を貰う、一般的にいう資格に近い制度があります。許状は学ぶ前にもうらう許し、免状は一定量学んだとあとにもうら習熟度の証です。

和文化といえば忘れてはならないのが着付けですが、着付けは着付け技能士という国家資格があります。それ以外では各着付け学校や着付け団体が独自で発行している資格がいくつかあります。筆者が持っている着付けの資格は一般社団法人全日本きもの振興会のきものコンサルタントです。

外国人に”茶道は資格が必要なのか”聞かれたら?

 

外国人観光客に茶道は資格が必要かどうかを聞かれたら、

「学ぶのに必要はないけど、先生になりたい場合は必要です。茶道の資格は独特で、一般的な資格のように学んだあとにもらう証明書のようなものはなく、学ぶ前に茶道を統括しているところ(お家元)に学ぶ許しを得てから学ぶんですよ。」

許状にフォーカスして説明するのが混乱を招かず、また茶道の資格制度が独特であることを伝えられてよいと思います。実際に現在も表千家では資格はなく、もともとは裏千家も許状のみだったので。

【英文例】

When it comes to learning tea ceremony, there is no formal certification required, but it is necessary if you want to become a teacher. Tea ceremony qualifications are unique in that they do not involve obtaining a certificate after learning, but rather require permission from the organization that oversees tea ceremony before you can start learning.

さらに色々質問が飛んできたら、

「全部で16ステップあって、先生になれるまで7~10年ほどかかるんです。」

【英文例】

Tea ceremony has a total of 16 steps, and it takes about 7 to 10 years to become a teacher.

というお話しができれば、茶道は独特な資格制度のもとで運営されていて、先生になるのはとても時間がかかって大変なことというのが伝えられます。

この記事を書いた人
富士乃井 茶々

茶の湯サロン運営者の富士野乃井茶々です。

社会人になってから着物が好きになり、
着物を着たいという理由で茶道を始めました。

着付けと茶道を中心に日本文化が好きになり、
それを世界に発信するために英語の通訳案内士になりました。
2年半で4498人の欧米・アジアの方々をご案内。

現在は海外に移住し、海外から茶道文化を発信中です。

富士乃井 茶々をフォローする
茶の湯サロン | Chanoyu Salon |
error: Content is protected !!